
昨日8月10日、ピエロ・トージ氏が亡くなりました。
ルキーノ・ヴィスコンティやパゾリーニ、フェデリコ・フェッリーニ監督などのの衣装デザイナーです。

彼に出会っていなかったら今の私はなかった。
美の探求の扉を開けてくれた。
とても悲しい。
私のプライベートの人生の大波があった時、
あなたは偉大なデザイナーになれるんだから大丈夫って励ましてくれた。
でもあなたなしでどうすればいい?

誰が道案内をしてくれる?
恩返しなんかできなかった。
生徒の成長を見るのが最大の喜びって言ってくれたけど・・
そんなことじゃ返しきれないほどの恩がある。
巨匠なのに全然取り澄ましていなくて、超面白い人だった。
彼に初めて会ったのはイタリア国立映画実験センターの入所試験の時。
緊張して、ビッグネームが怖くて
彼の眼差しが怖くて、
私は25歳だったのに泣いた。
あれから何年もいろいろな自分では入れない世界を見せてくれた。
彼に授けられた衣装デザイナー哲学のおかげでハリウッド映画にも参加できた。
私がヴィスコンティ監督の『山猫』の主役、クラウディア・カルディナーレの衣装を着てみようとして・・
コルセットが苦しくて息が吸えなかったこともあった。
国宝を破っちゃうかと思って着るのを断念。
ピエロ・トージ氏のデザイン哲学
何も発明してはいけない
全ては発明しつくされてしまったから
史実に忠実に
デザインとはリノベーション
彼がいなかったら知ることのなかった世界。
さようなら・・