ドレス

1800年代のドレスを作ってみた!フランスのコレがお手本!

1800年代のドレスを作ってみた
アオキ
アオキ
こんにちは、イタリアで15年デザイナーのアオキfashionsisenmonです^^ フツーの私がコネもなくイタリアでデザイナーになりました。 くわしくはコチラ

ロンドンのグローブ座のパタンナーチームに参加し、

1840年のドレスを当時の縫製に忠実に作りました!

 

1700年代からの流行の中心はフランス。

なのでお手本はフランスの絵画、イラスト、ファッションプレート・・

1840年はヒストリカルドレスの中で最もシンプルで分かりやすいラインです。

 

では、実際いかにして時代衣装を作るのかを見ていきましょう。

ヒストリカルドレス制作は忠実、執拗な調査から。発明厳禁!

ヒストリカルドレス制作の第一歩は綿密は時代考証から。

まずは図書館や古本市、博物館、に行って当時の絵画や版画を集めまくります。

 

これは写真が誕生したばかりの1840年の作品↓↓↓

当時は流行に沿って中年層まではみんな同じ格好をしていました。

1800年代のドレスを作ってみた女性 ポートレート 1840年

 

1800年代のドレスを作ってみたファッションプレート 1843年 パリ

ファッションプレートのスタイルは購入してもらうための

きれいに理想化されたスタイルなので現実とは違います。

ほんの参考程度に。

 

とにかくこういうものをたくさん集めます。

ファッション史オタクとしては一番楽しい作業。

 

中でも面白いのは1840年ごろにパリで活躍したイラストレーター、

Gavarnの作品。

現実の人々の動作と服装がとても面白いです。

1800年代のドレスを作ってみたGavarn 風俗画 1840年

 

  1. 横幅を出し気味にしたヘアスタイル
  2. ちょっと前に出た頭の位置
  3. 長い首
  4. 超なで肩
  5. ひじはふんわりな袖
  6. ひだをたくさん縫い付けた長い胴
  7. スカートとボディㇲの接続部分がふんわり盛り上がっている
  8. ふんわり丸く内側に入った裾

流行に合わせて人体が七変化!

 

④の超なで肩って本当です!

アームホールがとても下に付いているのでなで肩効果はありますが、

それにしてもここまでとは!?

肩を切るんですか?!?

 

⑥では胴を長く見せるために縦に細かいひだをたくさん入れています。

この10年前までは短い胴が流行っていたんです!

 

⑦⑧で、とにかくふんわりまるいスカートのシルエットが18410年の特徴です!

⑧でスカートの裾が内側に入ってしまっていることにご注目!

この不思議なふんわりまるいシルエット、どうやって作るんでしょう?

 

答えは記事の下の方で明らかに!!

 

でもまたたった20年で1860年代の流行

  • 短い胴
  • 超広がったスカート

に変わるんですね。

 

だから1860年に描かれたおばあさんの絵を見ると、

まだ1840年っぽい格好をしています。

頭にあるのは若いころの流行でしょうか?

 

1830年代に書かれたバルザックの『ゴリオ爺さん』の当時の挿絵も、

パリのこの時代の衣装生活風俗が描かれていてとても面白い!

 

そして以前にピッティ宮殿に許可を取って、

1840年作製のドレスを見に侵入した時の資料も使います。

フィレンツェにあるピッティ宮殿は午前中しか資料を見せてくれないので、

私はローマから始発の電車に乗りました。

 

小一時間後にはフィレンツでカプチーノ^^

 

超貴重資料、1840年に作られた日中用ドレスはこちら!

1800年代のドレスを作ってみた日中用ドレス 1840年 イタリア

 

オーソドックスな型。

1840年ラインの特徴が詰まった写真です。

  1. なで肩
  2. なが~いウエスト
  3. ボディスに沿った細かいひだ
  4. ボディㇲの真ん中は尖っている
  5. あらかじめカーブを描いてパターンが作られている袖
  6. スカートとボディㇲの結合部分はギャザーが寄って厚みを持っている
  7. ふくらんでいるが裾が小さめなスカート
  8. 人体が入っていないため残念ながらスカートの裾が内側に入っていません

当時はもちろんすべて手縫い。

当然今回もスカートのすそ以外はすべて手縫い。

 

↓↓↓こちらは同じドレスを裏返したところ。

こうやって縫い方やパターンを見ます。

 

1800年代のドレスを作ってみた日中用ドレス 裏 1840年

この裏返しドレスの見るべきポイントは、

  1. なで肩に見せる袖付けの位置!
  2. 胴を細く長く見せるペンス
  3. カーブを描く袖の形
  4. ボディストスカートの合体部分

④1840年にはボディスとスカート部分を別々に作って、

後で上下縫い合わせてワンピースにしていました。

なのでこの接続部分にスカートの余ったひだが出ます。

 

このスカート上部のひだが重要!

現代のスカートはいくつかの台形をつないで立体にしますよね?

そしてウェストやヒップ周りはすっきりしていることを目指します。

 

でも1840年は筒状の布の上部を

ギャザーで寄せただけでスカートにしていました。

 

ちょうど小学生が水泳の着替えの時に被るタオルスカートの作り方です。

 

そうすると上部のギャザーが寄った部分にふくらみが出来てしまいます。

これをきれい均等にならした形が④になります。

これこそが1840年独特のシルエットなのです!

 

そしてこれがあることでスカートがウェストとヒップに沿わず、

ぽわんと膨らんで美しい丸い形になります。

1800年代のドレスを作ってみた日中用ドレス 1840年 裏 後ろ姿

↑↑↑見てください!

  1. この小さい背中!なで肩に見せるためにこんなに小さい後身頃が!
  2. 下の方に付いている肩の縫い目
  3. よっちゃったギャザーたくさん

①②ここまでしてなで肩に見せたかったんです。

なで肩=美女=モテる=お金持ちと結婚で永久就職^^

と、お決まりの方程式です。

纏足=美女=モテる=お金持ちと結婚で永久就職^^とまったく同じ!

 

これらの資料から私が作成したデザイン画がこちら↓↓↓

 1800年代のドレスを作ってみた1840年 ドレス デザイン画 アオキナオカ

スカートは長方形を縫うだけなのでデザイン画は省略^^

これが1840年当時の型紙だ!見どころ

1840年のピッティ宮殿保存のドレスの型紙をお見せしましょう。

私もですが、昔の型紙をパッと見せられてもちょっとわからないですよね。

↓↓↓なので見どころをご紹介^^

1800年代のドレスを作ってみた日中用ドレス ボディス 1840年 オリジナル型紙
  1. こんなにたくさんのひだを前身頃に付けて胴の長さと細さを演出
  2. ステッカ(ボーン)を入れてウェストを固く絞る
  3. やけに小さい後ろ見ごろ
  4. スカートの接続部分のギャザーの処理をきれいに!
  5. 袖は初めからカーブを描いて断つ

↓↓↓すごいヘンな型紙はこちら!

1800年代のドレスを作ってみた日中用ドレス スカート部分 1840年 オリジナル型紙

ダーツの一つもないスカート!

5メートルくらいの長さの生地を筒状にしただけです。

ホントです!

ウエストは全てギャザーで寄せるので大変!

糸にロウを塗って絡まらないようにします。

糸が玉になっちゃうと悲しくなりますよね~

これみんなやってた技法!ぜひやってみて!

1840年のラインを出す秘密はアンダースカートにあり!

1860年では鳥かごみたいなクリノリンが使われます。

でも1840年にはまだこの発明はありませんでした。

 

ではどうやってスカートをふくらませていたんでしょう?

 

↓↓↓答えは大ボリュームアンダースカート!

1800年代のドレスを作ってみたこのただのフリル重ねです。

固い張りのあるオーガンジーで出来ています。

アンダースカートのスソにはボーンなどの補強が入っていません。

なので上に着るスカートのスソが内側に入ってしまって、

1840年の特徴的なスカートのふんわりまんまるシルエットになるんですね!

1840年のドレスを実際に作ってみたよ!

こちらが実際に1840年のドレスを制作した時のドキュメント!

 1800年代のドレスを作ってみた1840年 日中用ドレス スカート部分 縫製直前!!

 

↑↑↑これが縫う前ただの長方形のスカート!

  1. ウェスト部分にギャザーを寄せるための糸
  2. フリルのアンダースカート

こちらが後ろ身頃↓↓↓

1840年 ドレス制作中
  1. しつこいですがなで肩
  2. ステッカ(ボーン)を入れる
 1800年代のドレスを作ってみた袖 作製中

↑↑↑袖を作っています。

  1. 表の生地と裏地をずれないように仮止め
  2. フリルを均等に袖口に配して仮縫い
  3. 生地の端の模様を生かして配置
  4. Cordoncino(コルドンチーノ):タコ糸などをバイアスで伸びるように断ったドレスの共生地の中にくるんだ装飾用のヒモ

④のコルドンチーノ、つまり共生地でくるんだ糸状のもので

服を装飾することはファッション史を通してよく使われた装飾方法です。

 1800年代のドレスを作ってみた

 

↑↑↑ベースのボディㇲの上に別生地で装飾用の縦ヒダを付けます。

よりウェストを細く長く見せる視覚効果をねらいます。

 

1800年代のドレスを作ってみた1840年 日中用ドレス 試着中

↑↑↑某女優さんがモデルなので来てもらって試着中

1800年代のドレスを作ってみた

仮縫い続行中

1840年のシルエットがよく出ています。

 

まとめ;1840年シルエット

しつこいですが1840年のシルエットについて暗記しましょう!

  • なで肩
  • 細く長い胴
  • スカートはウェストからスソまでのふんわりまんまるシルエット

なぜこんなにしつこく暗記するかというと、

一つの時代を象徴するシルエットから、

別の時代を比較して頭に入れやすくするためです。^^

 

歴史の網羅では挫折しやすくなりますし、あまり面白くありません。

一つの時代をここまで深く掘り下げると見えてくるもの、

それが稼ぐためのファッション史です!

 

1840年のシルエットを覚えたら、1860年のシルエットに進みましょう!

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フツーの私がイタリアでデザイナーになれたのは、あるやり手社長にデザイン哲学を叩き込まれたから!

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