「美しいものに囲まれて、美しく生きる。」
それは、完成された作品を持つことではなく、
自分の目で形を捉えられるようになること。
貴婦人のアートサロンでは、
まず“描く”前に、“見る”ことを大切にしています。
ある受講生が、
1906年のドレスを自分の手で描くことに挑戦しました。
受講生が自分の手で初めて描いた1906年女性像
最初に描いた女性像は、少し大きくなりました。
そこで一度立ち止まり、
線からの距離を測り直し、
重心を確かめ、
もう一度フリーハンドで描き直し。
目標だったS字シルエットは、
自然な流れで再現されています。
これは技術の問題ではありません。
身体のどこに重心があるのか。
身体がどこで支えられているのか。
この時代ごとの違いを
見抜く力が育っているということ。
別の受講生は、
19世紀の髪型を塗りながら、
模様ではなく「重なり」を追っていました。
丁寧に仕上げられた、銅版画のような美しさ。
描くことは
むやみに線をふやすことではなく
構造を理解すること。
サロンで起きている変化は、
目に見える完成度よりも
見え方の変化です。
絵は、
見える人にだけ届くのかもしれません。
そして見る力は
確実に育っていきます。
絵が描かれた時代に行く、というより、
そこに立っている人の身体の感覚を想像する。
解説を聞くより、
一枚の絵の前で、
少しだけ時間を置いてみる。
見え方は、
ゆっくり変わっていきます。
服の歴史を「知る」より、
一緒に見てみたい方へ。