この記事では書ききれなかった
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18世紀の絵画には
一見ただの「穏やかな朝の風景」に見えて
その奥に 暮らし・身分・美容のリアル がぎゅっと詰まっています。
1754年、リオタールによる《ラヴェルニエ家の朝食》。少女の髪は紙でカールを仕込んでいる最中。左の女性は母親ではなく“乳母”の可能性が高く、服装のお下がりや食器の格から当時の暮らしと階級の背景が読み取れます。今回ご紹介するのは
1754年 リオタール作『ラヴェルニエ家の朝食』。
Xで反響が大きかった
右側の女の子の髪型──
「煮干し🐟じゃないですよ…!」のあの髪です。
実はこれ、
紙で髪をくるんでカールを仕込んでいる最中。
髪をねじって紙で包んで寝る。
翌朝全部ほどけばかわいらしいカールが‥
ただの【準備段階】で何気なく絵に描かれるほど
当時の生活では当たり前の光景でした。
髪を『紙で巻く理由』は、美容の知恵だった!
なぜ紙で???
18世紀の髪はまず
ポマード(羊脂)を全体にしっかり塗り
その上から髪粉をふりかけて『成形しやすい髪』をつくってから巻き始めます。
この状態の髪は、
- ねじれば好きな方向に形が決まる
- いったん固まると「牛皮みたいに」自由に造形できる
という、当時ならではの『扱いやすい素材』になります。
ただし、
ねじった束同士がベタベタくっついて崩れるのを防ぐため
ひと房ずつ紙で包んで『保護』しないとね。
つまり紙の役割は、
形を守るための『シールド』。
これがこの髪型のレシピ。
食器ももちろん『階級のサイン』
深い受け皿で飲むのはカフェラッテかな。
18世紀の朝ごはんでいちばん身分が出るのは
実は 食器 !
この絵に描かれたカップと受け皿は
まるで日本の伊万里焼を思わせるような精巧な柄で
かなり高価な輸入陶磁器 だっただろうね。
ポイントは受け皿の『深さ』。
当時は
- カップからあえて受け皿に少しこぼし
- その“浅いスープ皿”のような部分からすする
という飲み方をしてました。
つまりこの深さは
そして何より、
こんな高価な異国の食器を使って
小さな子どもが朝食を取れる暮らし は
まぎれもなく“中流以上の裕福な家庭”の証。
食器ひとつで
家の価値観・財力・生活レベルまで見えてくる。
静かな朝の絵の中に
そんな『階級のリアル』が息づいてる!
左の女性は『母親ではなく乳母』かもしれません
1754年、リオタールによる《ラヴェルニエ家の朝食》。少女の髪は紙でカールを仕込んでいる最中。左の女性は母親ではなく“乳母”の可能性が高く、服装のお下がりや食器の格から当時の暮らしと階級の背景が読み取れます。この絵の左側の女性
お母様に見える?
──実は乳母の可能性が高いのです。
理由はとてもシンプル。
この階級の『本当のお母様』は、
朝の時間帯は化粧着(ネグリジェみたいなもの)で過ごすのが一般的。
でもこの女性は
朝からきちんとドレスを着てエプロンしてる。
そして彼女の着ている服は、
「奥様(主人)のお下がり」かもね。
さらに、子どもの世話をしているのは
当時は乳母や家庭教師の役割。
もちろん「確定ではない」けど、
服装と生活習慣から読み解くと
乳母説が自然かな。
こういう『暮らしの裏側』が読めるのが
絵画の最大の楽しさなんだよね。
女の子の青い布は『エプロン』
これ飾りのサッシュではなく、汚れ防止の実用的な布!
ピンでドレスに留めて使っていました。
華やかな服装の中に生活のリアルがのぞきます。
こうして細部を見ていくと
絵画が『ただの絵』ではなく、人々が生きた時間そのものになる。
服飾史の醍醐味は、実はここにあります。
こういう視点は、一人では見つけにくい
こんな風に言う方がおられます。
「美術館に行っても、何を見ればいいかわからなくて…」
「歴史画は好きだけど、読むポイントが分からない」
「絵の中の“生活感”まで読み解けるとおもしろい」
そうなんです。
絵画は“物語として読む”と、一気に世界が広がる。
でも、自分ひとりでは
その扉を開くきっかけが見つからないことも多い。
だから私は、このブログで
【暮らしの裏側 × 絵画 × 物語】
をずっとお伝えしています。
そして、もっと深く体験したい方向けに
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