これに関する情報が少なくて‥
アンドリアンとも違うのでしょうか?
マンチュア、ローブ・ア・ラングレーズの資料も見たいです!
読者さんからの鋭いご質問。
この質問だけでロココファッション史を網羅しちゃってます!
でも決定的。
さあ、一体何が違うんでしょうか?
そもそもローブって?
多くのファッション史オタク(私含む)が悩むのがローブ・ア・ラ・フランセーズとローブ・ア・ラングレーズの違い‥
ローブ・ヴォラントにローブ・バタント!!??
ところが一つづつパターンも生地用尺も違うし‥
それでも興味ない?
今回はマリー・アントワネットのママ、マリア・テレジア時代のロココ初期ドレスにせまるよ!
目次
アンドリアンとは1703年に流行ったヒダ付きドレス!
それまでの1600年代バロックファッションはカチカチキチキチぴったりファッションね。
スペイン無敵艦隊のザ・威信とエリザベス女王のマックス威厳みたいな。
ロココ初期スタイル、まずはアンドリアン。
「ジェルサンの看板」の女性のドレスの後ろ姿に注目!
これはかっちり織り込まないルーズっぽいヒダ。
でも前はコルセットでしめたウェストラインもしっかり出てる。
袖も腕にピッタリ沿ってるよ。
もともとは1703年のコメディフランセーズの劇「アンドリアン」の主役の舞台衣装ね。
初演の日に大ヒットしてアンドリアンスタイルとして大流行しちゃうの。
でもその後すぐ着られなくなって‥
1730年ごろからフランス宮廷でワトーガウンとして復活するよ。
ワトーって言うのは画家の名前でこのスタイルのステキな絵を描いてた人。
なんとドレスがその画家の名を冠しちゃったわけ!
この絵の④女性がキチンとたたまれたヒダ付きワトーガウン着用。
①女性はルーズなアンドリアンが見えてるよね!
マンチュアはロココ初期のガウン
マンチュアは前後がゆったりしたドレスね。
とにかく絹織物で作られたスソが後ろは引きずるくらい長いTシャツを想像してみて。
あ、絹織物だから伸縮性はないけどね。
ボディ部分をプリーツでちょっと体にフィットさせて。
ローブ・ヴォラントってアンドリアンの次の1710年頃からの流行り!
ルイ14世時代末の1710年ごろから流行ったドレス。
もともとは化粧着、くつろぎ着だ!
貴婦人の夫以外はごく親しい男友達しか見ることのできなかった朝のドレスざます。
でも前から見ると‥
前も後ろもアンドリアンスタイルみたいな。
マンチュアの袖がピッタリ版みたいな。
横から見ると‥
肩のヒダがスソに行くほど広がるシルエット。
肩から流れるような優美なラインを出して。
ふんわりルーズ感があったんだよ。
ふんわりって言っても伝統的な張りのあるブロケードとか絹織物で仕立てられてたから限界があったけど‥
しかもクジラのひげが縫い込まれた固いコルセット。
まあコルセットに頼ってたら結局女性の筋力がなくなっちゃって‥
コルセットによりかかってたって言うのがホントらしいけど。
②と③の女性がローブ・ヴォラント類着てるよね!
マネキンじゃよけい太って見えるような??だったけどコッソリ
ちなみにヴォラントはフランス語のvolante。
舞い上がってふんわり飛ぶって意味です。
ローブはガウンって日本語訳される。
ゆったりした上着を指す時もある。
ワンピース型のドレスを指す時も‥
皇室御用達のローブデコルテとかね!
これがファッション史用語をややこしくしてる‥
ローブ・ア・ラングレーズって1745年頃からの流行り!
もともとはゆったりしたマンチュアしか作れなかったんだけど。
これがローブ・ア・ラングレーズ!
1745年頃から背中のゆったりしたヒダはキチンとたたんで背中に縫い付けられるように。
だからローブ・ア・ラングレーズは鞘型ドレスとも呼ばれます。
ロココ時代の大きく開いた胸元をちょっとおおうのに流行ったの。
ところでアングレってイギリスって意味のフランス語。
ここに例のア・ラがついてつまり「イギリス風の」。
しかもア・ラ・ラングレーズの母音が縮まってア・ラングレーズ‥
ローブ・ア・ラングレーズとはイギリス風ドレスのこと。
カタカナで読むと、もはや何のことわかりません‥
こういうファッション史のカタカナ用語がファッション史を複雑にしている‥
とにかくローブ・ア・ラ・フランセーズとはちがう上半身ピッタリシルエット。
ローブ・ア・ラ・フランセーズはロココ中期からフランス革命直前までずっと大流行!
これもロココドレスの種類。
マリー・アントワネットが王妃になるずっと前から宮廷の正式ドレスに指定されてたよ。
このア・ラって付いたらフランス語で「○○風の」って意味。
だから「フランス風のローブ」。
一般的にサック・バック・ガウンって呼ばれてるよ。
うしろにサック(箱ヒダ)をしょってるから。
もともとのモデルはローブ・バタントっていうドレス。
ローブ・ヴォラントによく似て前後にヒダが付いてるもの。
肩にたたみこまれたヒダをつけて、布が肩からスソまで流れ落ちるようにしたドレスだよ。
後ろ姿はゆったりしたシルエット。
1730年頃にはかなりデカかった肩から肩までのゆったりヒダ。
これがだんだんせまくなって‥
1780年頃には背中の真ん中の手の幅くらいのヒダになっちゃった。
↑↑こいつがベルサイユ超豪華宮殿での公式ドレスっていうからビビるじゃない?
でも納得。
あの豪華絢爛バロック装飾に囲まれたらこうなるよね。
大理石に金ピカ!
よくまちがいは横になってのドアの通り方!
カニ歩きなんかしちゃダメだよ。
あまりに不便だからパニエにちょうつがいをつけてスカートが持ち上がるようにしたり‥
新型馬車の発明があったり。
これは馬車の屋根と壁が取り外し出来るんだよ。
ローブ・ア・ラ・フランセーズのデカいスカートをつけた女性がご降臨してから馬車の屋根が閉まるというシロモノ‥
ロココのドレス、フランス革命の原因を間近で見てみよう!
でも縫製時に絹織物がの用尺が半端ないから超重い!
それにこんな生地を縫製するとき何が大変?
柄合わせだよ~!
重たい本物の絹織物、何枚にもたたまれたヒダとか。
ほっそいウエストライン出すために余分な生地は何本ものダーツで内側に縫い込まれて‥
それはいいけどでも。
ムダ!
節約しろ!!
バイト?
生地を見せたいからスカートがデカくなったのかと疑うよね。
絶対そう!
しかも40センチ幅とか‥
当時もっと高かったし、一体何メートル買えばいいの??
これさっきのローブ・ヴォラントね。
サック部分って生地の大柄の見せ場がたっぷり!
これって縦60センチはある大柄のリピートじゃない?
こんなことしてちゃね。
これもね‥
巨大なスカートの分柄合わせも多くて大変だ!
こっけいなくらいデカいスカートのストマッカ―です。
つまり見頃の胃の部分への三角の差し込み生地。
金糸?銀糸?
おまけに貴族のファッションは今でいうセレブゴシップのまと!
女性自身とか女性セブンでお値段すっぱ抜かれちゃう!
こんな贅沢がフランス革命を引き起こしちゃうのでした‥
まとめ
ロココドレスの変遷って
- アンドリアンは後身頃にルーズなヒダが
- ワトーガウンは後身頃にキチンとたたんだヒダ付き
- マンチュアとローブ・ヴォラントは前後見頃にヒダが付くゆったりシルエット
- ローブ・ア・ラングレーズは見頃スッキリフィットシルエット!
- ローブ・ア・ラ・フランセーズは贅沢一杯、見せ所満載!
- フランス革命を引き起こしたほどの貴族の贅沢な生地使い
ってことでした~~!