ロココ18世紀

ロココドレスのローブ・ア・ラ・フランセーズがフランス革命の原因って?

ロココドレスのローブ・ア・ラ・フランセーズ
アオキ
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ローブ・ア・ラ・フランセーズ以前のローブ・ヴォラントというゆったりラインのドレスについて。

これに関する情報が少なくて‥

アンドリアンとも違うのでしょうか?

マンチュア、ローブ・ア・ラングレーズの資料も見たいです!

読者さんからの鋭いご質問。

この質問だけでロココファッション史を網羅しちゃってます!

アオキ
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正解から言いますとアンドリアンとローブ・ヴォラントの違いは1点だけ!

でも決定的。

さあ、一体何が違うんでしょうか?

そもそもローブって?

多くのファッション史オタク(私含む)が悩むのがローブ・ア・ラ・フランセーズとローブ・ア・ラングレーズの違い‥

ローブ・ヴォラントにローブ・バタント!!??

アオキ
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名前がいろいろ、でもそんなことどうでもいいんじゃない??

ところが一つづつパターンも生地用尺も違うし‥

アオキ
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しかもこのドレスのこんなパターンたちがフランス革命にもかかわってくるとしたら?

それでも興味ない?

ロココドレスのサック・バック・ガウンって?フランス革命はローブが原因⁈マリア・テレジア 1727年Andreas Moeller Kunsthistorisches Museu パブリックドメイン

今回はマリー・アントワネットのママ、マリア・テレジア時代のロココ初期ドレスにせまるよ!

アンドリアンとは1703年に流行ったヒダ付きドレス!

ロココドレスのサック・バック・ガウンジェルサンの看板 ワトー 1720年パブリックドメイン
アオキ
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ロココシルエットのスタートは「背中がゆったり見える」ことから!

それまでの1600年代バロックファッションはカチカチキチキチぴったりファッションね。

ロココドレスのサック・バック・ガウンアンナ・チェチリア・ヴィスコンティ 1672年
アオキ
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ルーズとかふんわりは許さない!!

スペイン無敵艦隊のザ・威信とエリザベス女王のマックス威厳みたいな。

 

ロココ初期スタイル、まずはアンドリアン

「ジェルサンの看板」の女性のドレスの後ろ姿に注目!

 

アオキ
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アンドリアンは背中にたたんで縫い込まれたヒダつきドレスのこと

これはかっちり織り込まないルーズっぽいヒダ。

 

アオキ
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そのおかげで後ろ姿と前から見た時のウエストあたりがゆったりと生地が流れるように見えるよ

でも前はコルセットでしめたウェストラインもしっかり出てる。

袖も腕にピッタリ沿ってるよ。

 

もともとは1703年のコメディフランセーズの劇「アンドリアン」の主役の舞台衣装ね。

初演の日に大ヒットしてアンドリアンスタイルとして大流行しちゃうの。

でもその後すぐ着られなくなって‥

1730年ごろからフランス宮廷でワトーガウンとして復活するよ。

ワトーって言うのは画家の名前でこのスタイルのステキな絵を描いてた人。

なんとドレスがその画家の名を冠しちゃったわけ!

ロココドレスのサック・バック・ガウンジャンフランス・ド・トロワ 愛の宣言1731年 部分 パブリックドメイン

この絵の④女性がキチンとたたまれたヒダ付きワトーガウン着用。

ロココドレスのサック・バック・ガウンジャンフランス・ド・トロワ 愛の宣言1731年 部分 パブリックドメイン

①女性はルーズなアンドリアンが見えてるよね!

マンチュアはロココ初期のガウン

アオキ
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ロココ初期の1600年代終わりごろのドレスはマンチュア

マンチュアは前後がゆったりしたドレスね。

とにかく絹織物で作られたスソが後ろは引きずるくらい長いTシャツを想像してみて。

あ、絹織物だから伸縮性はないけどね。

ボディ部分をプリーツでちょっと体にフィットさせて。

アオキ
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ギリスでは1730年ごろから宮廷用にまでなったよ

ローブ・ヴォラントってアンドリアンの次の1710年頃からの流行り!

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ヴォラント 後ろ姿 1730年頃 フランス メトロポリタン美術館蔵 パブリックドメイン
アオキ
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じゃ問題のローブ・ヴォラントって?

ルイ14世時代末の1710年ごろから流行ったドレス。

もともとは化粧着、くつろぎ着だ!

貴婦人の夫以外はごく親しい男友達しか見ることのできなかった朝のドレスざます。

アオキ
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ふむふむ後ろから見ると↑↑ワトーガウンと同じですてき

でも前から見ると‥

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ヴォラント 前姿 1730年頃 フランス メトロポリタン美術館蔵 パブリックドメイン
アオキ
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なんと前後に大きなヒダがたたんで縫い付けられてるよ!

前も後ろもアンドリアンスタイルみたいな。

マンチュアの袖がピッタリ版みたいな。

横から見ると‥

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ヴォラント 横 1730年頃 フランス メトロポリタン美術館蔵 パブリックドメイン

 

肩のヒダがスソに行くほど広がるシルエット。

肩から流れるような優美なラインを出して。

ふんわりルーズ感があったんだよ。

ふんわりって言っても伝統的な張りのあるブロケードとか絹織物で仕立てられてたから限界があったけど‥

アオキ
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そしてその下はやっぱりコルセットで締め上げてたからホンッとに見た目だけゆったりね!

しかもクジラのひげが縫い込まれた固いコルセット。

アオキ
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背中をまるめてソファーでスマホなんて姿勢とれないよ!

まあコルセットに頼ってたら結局女性の筋力がなくなっちゃって‥

コルセットによりかかってたって言うのがホントらしいけど。

ロココドレスのサック・バック・ガウンジャンフランス・ド・トロワ 愛の宣言1731年

②と③の女性がローブ・ヴォラント類着てるよね!

アオキ
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こうしてコルセットによりかかって座ってると流れ落ちるシルクの風情があるね~

マネキンじゃよけい太って見えるような??だったけどコッソリ

 

ちなみにヴォラントはフランス語のvolante。

舞い上がってふんわり飛ぶって意味です。

ローブはガウンって日本語訳される。

ゆったりした上着を指す時もある。

アオキ
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ハリーポッターが着てる魔法使い制服のマント上着だよね

ワンピース型のドレスを指す時も‥

皇室御用達のローブデコルテとかね!

アオキ
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なんとローブはガウンとワンピース型ドレスの2種類の意味があった!

これがファッション史用語をややこしくしてる‥

ローブ・ア・ラングレーズって1745年頃からの流行り!

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラングレーズ 後ろ姿 1785-87 フランス メトロポリタン美術館蔵

もともとはゆったりしたマンチュアしか作れなかったんだけど。

1700年代になってどんどん体にピッタリフィットするドレスを作る技術が発達!

これがローブ・ア・ラングレーズ!

1745年頃から背中のゆったりしたヒダはキチンとたたんで背中に縫い付けられるように。

アオキ
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1770年代後半には上半身が体にぴったりとフィットする刀の鞘(さや)みたいなスタイル完成

だからローブ・ア・ラングレーズは鞘型ドレスとも呼ばれます。

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラングレーズ  1785-87 フランス メトロポリタン美術館蔵
アオキ
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首をおおっているのはフィシューという白いスカーフ

ロココ時代の大きく開いた胸元をちょっとおおうのに流行ったの。

 

ところでアングレってイギリスって意味のフランス語。

ここに例のア・ラがついてつまり「イギリス風の」。

しかもア・ラ・ラングレーズの母音が縮まってア・ラングレーズ‥

ローブ・ア・ラングレーズとはイギリス風ドレスのこと。

 

カタカナで読むと、もはや何のことわかりません‥

こういうファッション史のカタカナ用語がファッション史を複雑にしている‥

 

とにかくローブ・ア・ラ・フランセーズとはちがう上半身ピッタリシルエット。

アオキ
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イギリス風は生地節約だね

ローブ・ア・ラ・フランセーズはロココ中期からフランス革命直前までずっと大流行!

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1740 イギリス メトロポリタン美術館
アオキ
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よく出てくるローブ・ア・ラ・フランセーズってナニ?

これもロココドレスの種類。

マリー・アントワネットが王妃になるずっと前から宮廷の正式ドレスに指定されてたよ。

このア・ラって付いたらフランス語で「○○風の」って意味。

だから「フランス風のローブ」。

アオキ
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プリンアラモードはモード風プリン‥
ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1740 イギリス メトロポリタン美術館

一般的にサック・バック・ガウンって呼ばれてるよ。

うしろにサック(箱ヒダ)をしょってるから。

 

もともとのモデルはローブ・バタントっていうドレス。

ローブ・ヴォラントによく似て前後にヒダが付いてるもの。

アオキ
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これの後ろのサックだけを残したのがローブ・ア・ラ・フランセーズ

肩にたたみこまれたヒダをつけて、布が肩からスソまで流れ落ちるようにしたドレスだよ。

後ろ姿はゆったりしたシルエット。

1730年頃にはかなりデカかった肩から肩までのゆったりヒダ。

 

アオキ
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そのうちこの背中の布をキチンとヒダをつけてたたむようになってきました

 

これがだんだんせまくなって‥

1780年頃には背中の真ん中の手の幅くらいのヒダになっちゃった。

 

アオキ
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このローブ・ア・ラ・フランセーズ、どんどん大きくなっていくスカートであまりにも有名だよね?
ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1750イギリス メトロポリタン美術館 パブリックドメイン

↑↑こいつがベルサイユ超豪華宮殿での公式ドレスっていうからビビるじゃない?

でも納得。

ロココドレスのサック・バック・ガウンベルサイユ宮殿 鏡の間

あの豪華絢爛バロック装飾に囲まれたらこうなるよね。

大理石に金ピカ!

アオキ
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ドアを通るとき一体どうしたの??
ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1750イギリス メトロポリタン美術館 パブリックドメイン

よくまちがいは横になってのドアの通り方!

カニ歩きなんかしちゃダメだよ。

アオキ
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げっひ~~ん!
ロココドレスのサック・バック・ガウンドアを通るときはスカートを持ち上げて回してよいしょ!
アオキ
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ドアが通れないくらい大きなスカートをはいてきた女子はスカートだけ回して通ってね!

 

あまりに不便だからパニエにちょうつがいをつけてスカートが持ち上がるようにしたり‥

新型馬車の発明があったり。

これは馬車の屋根と壁が取り外し出来るんだよ。

ローブ・ア・ラ・フランセーズのデカいスカートをつけた女性がご降臨してから馬車の屋根が閉まるというシロモノ‥

アオキ
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ホントに使ったのか??
ロココドレスのサック・バック・ガウンって?フランス革命はローブが原因⁈ローブ・ア・ラ・フランセーズ オランダ 1740-1760年

ロココのドレス、フランス革命の原因を間近で見てみよう!

アオキ
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ロココ時代前半と中期って大柄の花とかリピートの付いた柄の生地が流行ってた!

でも縫製時に絹織物がの用尺が半端ないから超重い!

アオキ
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縫製師の労力ハンパないよね~

 

それにこんな生地を縫製するとき何が大変?

柄合わせだよ~!

重たい本物の絹織物、何枚にもたたまれたヒダとか。

ほっそいウエストライン出すために余分な生地は何本ものダーツで内側に縫い込まれて‥

アオキ
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それで縫製・パターン作成技術が超発達!

 

それはいいけどでも。

アオキ
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背中のサックにいたっては高級生地の大量消費!

ムダ!

節約しろ!!

アオキ
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だめよ、ロココ時代のドレスの見せどころは贅沢なテキスタイルを見せびらかすところにあるんだから!
ロココドレスのサック・バック・ガウンrococo-sakku
アオキ
アオキ
マリー・アントワネット王妃様、そんな生地代どこから捻出する?

バイト?

アオキ
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いやいや庶民の税金をふやしてしまえ~~ほーっほほほほ‥
アオキ
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はい、これもフランス革命の原因ね

 

生地を見せたいからスカートがデカくなったのかと疑うよね。

絶対そう!

 

アオキ
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だって今もイタリアの高級絹織物って1メートルあたり800ユーロ=10万円!

しかも40センチ幅とか‥

当時もっと高かったし、一体何メートル買えばいいの??

 

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ヴォラント メトロポリタン美術館1730年頃

これさっきのローブ・ヴォラントね。

サック部分って生地の大柄の見せ場がたっぷり!

アオキ
アオキ
後ろ中心線での柄合わせ見た??

これって縦60センチはある大柄のリピートじゃない?

 

こんなことしてちゃね。

アオキ
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いくら縫製技術が発達しても生地捨てる部分あるよね‥

 

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1740 イギリス メトロポリタン美術館

これもね‥

巨大なスカートの分柄合わせも多くて大変だ!

 

ロココドレスのサック・バック・ガウンローブ・ア・ラ・フランセーズ 1750イギリス メトロポリタン美術館 パブリックドメイン

こっけいなくらいデカいスカートのストマッカ―です。

つまり見頃の胃の部分への三角の差し込み生地。

金糸?銀糸?

 

おまけに貴族のファッションは今でいうセレブゴシップのまと!

女性自身とか女性セブンでお値段すっぱ抜かれちゃう!

アオキ
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Twitterだって明日のパンもない庶民からは貴族の贅沢に「いいね」なんか一つもつかないよね

こんな贅沢がフランス革命を引き起こしちゃうのでした‥

まとめ

ロココドレスの変遷って

  • アンドリアンは後身頃にルーズなヒダが
  • ワトーガウンは後身頃にキチンとたたんだヒダ付き
  • マンチュアとローブ・ヴォラントは前後見頃にヒダが付くゆったりシルエット
  • ローブ・ア・ラングレーズは見頃スッキリフィットシルエット!
  • ローブ・ア・ラ・フランセーズは贅沢一杯、見せ所満載!
  • フランス革命を引き起こしたほどの貴族の贅沢な生地使い

ってことでした~~!

 

アオキ
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