日本ではあまりなじみのない人だけど、いたらいいよ~。
ギャラントリー(galanterie)ともよばれる。
ロココ時代のイタリアでは必要不可欠な『ささやく男性』ヨ。
既婚の貴婦人に夫公認で付きそう騎士の役目をするひと。
もともとルネッサンスーバロック時代、既婚女性をいろいろな悪意から守る役目をしてたんだよ。
結婚規約で妻の実を守る人として記載されるの。
この人が常にささやいてるの。
チチスベオは貴婦人の美と優雅でガーリーな世界観は好きだけど女性に性的な興味はない男性がなったよ。
恋愛のお遊びは日常だったけど、深刻な不倫のどろどろはダサかったからご法度。
目次
超レディファースト誕生、ロココ時代!不可欠なのは「ささやく男性」
チチスベオは貴婦人のトイレ、賭博、パーティー、公式行事、劇場、ランチ、お散歩、ありとあらゆることに付き添うの。
夫や貴婦人の家族とも仲が良かったんだよ。
もともとこの頃の結婚は政略結婚。
でも礼儀正しくて愛情深く誠実ではあったけど。
恋愛感情の情熱ってものがなかった‥
熱烈な夫婦関係はむしろヤボ。
夫はチチスベオに嫉妬なんかしない。
ロココ時代は浮気がフツーだったとも聞くよね。
真実は貴婦人の胸にしまってある。
チチスベオって力持ち?持ちモノ多すぎて邪魔なくらい!
まるで騎士の従者みたいにどこへでもつきそって。
櫛に数々の小箱、はさみにリボンに化粧道具!
ツルツルの鏡、塗りの容器に入った白粉、ポマード、口紅、金か銀の箱にはつけボクロ、きれいな白い象牙の櫛、イヤなニオイから貴婦人を守る香水のクリスタルのビン、砂糖菓子、せき止め、‥
全部チチスベオのポケットにはいってた⁉
いつでもこれだけもってないと。
貴婦人の数々のわがままに備えられない!
ご期待に沿えないとかれらは一瞬にして貴婦人の寵愛が覚めることを知ってたから‥
貴婦人だってコルセットでこれだけ締め上げたら自律神経失調症にもなるよ。
情緒不安定でつねにわがままってのはうなずける。
荷物持ちだけじゃないよ。
チチスベオは機転の利いたばりばり皮肉も言えないと。
貴婦人の名誉のためにいつも頭に皮肉の銀の針を用意して。
ちなみに今でもイタリア男性はこんな感じ。
女子のぐちには絶対味方になってユーモアでこたえてくれるよ!
多言語あやつり‥
厳格な貴族のエチケットをスミズミまで知りつくし
いつもエレガントにドレスアップ‥
あんただれだよ、一体何のためにここまで??
チチスベオはだれがなるの?同性愛者だったりビンボー貴族⁉
既婚女性の元カレ?
はずれ~!
そういう説もあるけど、実際はいくらロココ時代でもそこまでは‥
チチスベオはほぼ同性愛者だった。
だって既婚の貴婦人とずっと一緒にいるんだから、恋愛関係になったら問題じゃない?
だから貴婦人の美と優雅でガーリーな世界観は好きだけど女性に性的な興味はない男性だってば。
そこはよくできたもので同性愛者の存在がフツーに認められてた。
今ならカミングアウトとか同性婚賛否両論とか一々騒ぐけど、ロココ時代は超オープン。
同性愛者ならではお仕事がチチスベオ!
または年齢の行った異性愛者の男性や家族の友人、親戚とかね。
とにかくチチスベオは不倫相手の恋人ではない!
恋愛とか不倫を軽々越えたもっと高尚なヒト。
夫が貴婦人にチチスベオをつける約束する。
上のエッチングは夫婦にあいさつをするチチスベオ。
夫公認でしょ?
または‥
若いビンボー貴族がなることも。
こんなことでもしないと貴族的な世界をかいまみることができないからね。
自分のおしゃれとウィット磨いて出世する男のロココロマン。
今ではかんがえられないね。
究極のイタリアンファッション!彼らの優雅なお召し物
チチスベオは最新流行、超ファッショナブルでエレガントじゃないと。
でもちょっとでもセクシーじゃヤボだった!
男性的要素をぜんぜん感じさせないで男子が超おしゃれってむずかしくない?
でもロココ時代はもともと繊細優美で女性的な男子が流行ったからできた。
たくさんの貴婦人の小間物をセンス良くもって。
常に品よく!
チチスベオの一日
朝一にチチスベオは優雅な身なりを整えて。
それから貴婦人の寝室を訪ねる。
手を心臓にあてながら優雅にお辞儀。
それから貴婦人のお化粧の手伝い。
貴婦人お着換え。
昼食で。
チチスベオの席は貴婦人のとなり。
かれは優雅な手つきで料理を切り分ける。
そして一番おいしそうな一切れを貴婦人に芸術的に盛り付けてあげる。
貴婦人がみずからお客様にサービスするときには優雅な手つきでナイフをわたしてあげる。
貴婦人お着換え。
午後のお散歩。
チチスベオは貴婦人をつれて彼女のお友達をたずねる。
そのときは腕を組んでお付きそい。
ローマならコルソ通りを馬車で‥
道々彼はほかの馬車に乗っている人たちとおしゃべり。
貴婦人お着換え。
夕方。
貴族のお屋敷でゲームしながら食前酒。
チチスベオはゲーム中の女性のおそばに。
チチスベオはいつでも貴婦人のお望みのモノの支払いができるように準備。
だからチチスベオの多くは貴婦人より年上の男性で財力もあったよ。
チチスベオ終焉
ロココ時代は恋愛もファッションもマカロンカラーで楽しんだ時代。
何もかも人工的に装飾してヤボを排した。
でも革命で貴族的な習慣が全部なくなって‥
19世紀が進むと時代はどんどん禁欲的になっちゃった!
もうちょっとキリスト教的モラルを守ったりね。
もともと教会はチチスベオの習慣に反対。
『腐敗だ!』って言ってたんだ。
ナポレオンが台頭した時ブルジョアも強くなってきて。
新興のブルジョアはロココ的貴族趣味が大きらい。
チチスベオなんて理解できない!
お金かかるし‥
それにたまにハズレ貴婦人もあったし。
チチスベオにわがまま放題、奴隷扱いする人もね。
そんなこんなでだんだん廃れていった‥
ロココファッション用語知りたいけど
ローブ・ア・ラ・フランセーズに
ローブ・ヴォラント、
アンドリアンに
マンチュア、ローブ・ア・ラングレーズって??
こっちで必須用語写真付きで解説するよ!↓
まとめ
イタリアのファッションの歴史の中で超重要アイテム見ちゃいました~
チチスベオはモーツァルトやゴルドーニ、ロッシーニの歌劇で今でも見ることができるよ。
フィガロの結婚や古物商の家族ね。
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