ルネサンス14-15世紀

16世紀ファッション再現の方法!ルネッサンスの服装細部にせまる

16世紀ファッション

もし華やかなルネッサンス映画衣装担当になってドレスをデザインするとしたら?

まずは詳細な資料集めからスタートしよう。

アオキ
アオキ
ルネッサンスヨーロッパのドレスが生地やパターンまで一目瞭然の資料があるとしたら?

パリに今すぐ再現できるくらいに鮮明なモノが現存してる。

 

アオキ
アオキ
さあ、さっそく一緒にパリのクリュニー中世美術館へ!

虫メガネをわすれずにね。

『聴覚』はルネッサンスで大流行した生地を使用!

クリュニー中世美術館には『貴婦人と一角獣』の6枚連作のタペストリーがある。

1485年から1500年、ルネッサンス後期に織られたとされてる。

 

アオキ
アオキ
この超有名なタペストリーにルネッサンスの衣装デザインのヒミツが隠されてる!

それは生地中に織られた生地。

なんとタペストリーという生地の中にルネッサンス当時の生地が織りこまれてる!

中の一枚『聴覚』がテーマのタペストリーに近づいてみよう。

16世紀ファッション聴覚

なるほど貴婦人と侍女が弦楽器をひいています。

さらに貴婦人のドレスの生地にちかづいてみると‥

16世紀ファッション聴覚 部分
アオキ
アオキ
貴婦人のドレスがルネッサンスに大流行りした織物でつくられてる!

特徴は超大きい花のモチーフ使い。

この頃は建物が大きくて天井が高かったから人と人との距離遠い。

ソーシャルディスタンス保った感じ。

だから柄も大きくしないと謁見なんかで見えないヨ。

 

ロココになると小さくて親密な感じの小部屋が流行った。

だから大きな宮殿の中にわざわざ小部屋作って壁紙貼ってこまごまインテリア飾って‥

人との距離も近かった。

だからちかくで見てカワイイ小花模様や細いストライプなんかが流行ったんだよ。

貴婦人のドレスの柄までルネッサンスの香り満載!

貴婦人のドレスの生地に戻って。

大柄のモチーフの中に細かいモチーフを入れるのはいつでも大人気。

アオキ
アオキ
それではこの植物はなんでしょうか??

正解はざくろ

ザクロはまず、教会のシンボル。

ざくろのたった一枚のかわの中にたくさんの種子があつまる‥

教会は唯一の信仰にたくさんの人間を結びつける‥。

ってことをあらわしてるとされる。

 

ところで古代からザクロは女性の子宮をあらわしていて種子は多産の象徴‥っていうのもある。

 

とくにルネッサンスイタリアでこのざくろ柄の生地が使われてるの多いよ!

16世紀ファッションベルベットの法衣 サン・ピエトロ大聖堂 15世紀末

ほらね、15世紀末の法衣ヨ。

ちなみにゴシックまではドラゴンやライオンなど、どうぶつ柄が人気。

 

ところでルネッサンスはみんなが中世教会の権威から脱したとき。

アオキ
アオキ
なんでまた教会のシンボルざくろが流行るの??

 

ちがうんじゃない?

ここで表されているのはギリシャ・ローマ文化由来のザクロの意味‥?

ざくろはヘラとアフロディーテの象徴。

『生命をうみ出す女神の奇跡‥』

ルネッサンスつまり『再生』、のざくろが意味するところはこっちじゃない?

つまり女性賛美の柄が使われてるドレスってことにならない?

 

16世紀ファッションピサネッロのテキスタイルデザイン画 15世紀 ルーブル美術館

ルネッサンス超有名画家ピサネッロだってテキスタイルデザインもやってる。

ここでも大きなモチーフの中が小さなモチーフで埋め尽くされてる!

 

この生地は緞子(どんす)で赤い部分がとびだしててベルベット。

金色の地がつるつるとへこんでる。

裏から見ると凹凸が逆になる。

タペストリーの中のドレスにも生地艶まで織り込まれてるよ。

アオキ
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重厚で柄が目立つこの時代にピッタリな織物‥

 

16世紀ファッション工房の金細工師、おそらく聖エリギウ  1449年 ペトルス

ルネッサンス時代の裕福な夫婦が金細工を買う場面。

ほら、ここにもあるザクロ模様。

びっくり!スソまで凝りに凝ってる

16世紀ファッション聴覚 部分
アオキ
アオキ
次はゴージャスなスソにご注目!

表のドレスに穴があいてて下の生地の模様か刺繍が見えてる。

 

ルネッサンスのおしゃれセッターは下から別アイテムをチラ見せするのが大好きだった!

どうやら生地はし部分2重の袋状になってるよね?

その下の蒼い生地にはお花かまるいモチーフ。

そのまわりをさらに真珠で飾ってある!

アオキ
アオキ
これで草原に行くんか~い⁉

ルネッサンスおハゲ美人ここにも!

16世紀ファッション聴覚 部分
アオキ
アオキ
よ~くみるとすっごいへんなヘアスタイルじゃない?

あたまに納豆をつつむワラを巻いてるような‥

そしてちょんまげ。

そしてもちろんおしゃれの決め手はおハゲと薄い眉。

実はこれ全部わざとヨ。

 

このヘアメイクが流行ったんだから当然やるでしょ。

たとえ髪を抜いても剃ってもね。

 

三つ編みは凝ったカタチがこれでもかってくらい流行った。

16世紀ファッションkifujinレダの頭 レオナルド・ダヴィンチ画 1504-6年

ほら、巨匠ダビンチだって三つ編み描いてる。

現代テキスタイルデザインで再現する方法と生かし方

おまけね。

私はイタリアのテキスタイルデザイン事務所でもはたらいています。

そこでは今でもこんな柄の生地をつくることがあります。

イタリアのインテリア業界では需要が超多いから‥

 

イタリアのデザイン事務所で働くことについてはココ↓

あ、コロナの心配がないときね。

 

ところで。

我々はデザイン見本を作って織物業者に売ります。

アオキ
アオキ
見本なのでホントに織ってなくていいんです♪

 

デザイン画をきめたら、生地の凹部分の生地を用意。

ここでは赤ね。

生地の裏に両面テープを貼ってザクロ模様のカタチに沿って切り抜く‥

その他小さいモチーフも全部ね。

凸部分はベースの生地の色、つまり黄色を使います。

先ほどの切れた赤いモチーフを黄色生地の上に貼っていきます。

ペタペタ‥完成!

あとは買った人が織る。

 

じみ~でしょ?

でも織るよりは早いのでこの方法で実物見本作ってます。

劇場やオペラの衣装にも使う方法だよ!

私はこの事務所で学んだたくさんの生地見本の作り方を生かしてステップアップしました。

これが次に映画衣装業界に行った時すっごく役に立った。

今はもうない時代の生地を再現できたから‥

そんなことがスムーズにキャリアを積むきっかけになりました。

ジャガード織のモワレもゴージャスで大流行!

16世紀ファッション貴婦人と一角獣 視覚

このタペストリーのテーマは『視覚』。

まずは貴婦人のドレスに注目!

16世紀ファッション視覚 部分

ほら、生地の模様までみえるでしょ!

コチラはざくろのようなアカンサス文様のような‥

 

アンダースカートはモワレ生地。

16世紀ファッションシルク モワレ

モワレはこんな風に木目柄のある生地だよ~

装飾なしでもゴージャスにみえるから大流行りしたんだよ。

16世紀ファッション嗅覚

このタペストリーは『嗅覚』。

 

ここにもザクロ模様の生地。

でも一番目の聴覚とちがってこれがアンダースカートになってる。

16世紀ファッション嗅覚 部分

上のドレスは艶のある青い生地で裏が赤いモワレ。

聖母マリアの衣のシンボルになる表が青、裏が赤色使いと同じ。

だけどそこまでの意味があるのかは不明。

侍女のおしゃれなボタン使いにも注目!

『貴婦人と一角獣』のミステリーに隠された『笑い』?

このタペストリーの6枚目のテーマは長年ナゾとされてる。

『我が唯一の望み』ってテーマでまだ謎に包まれている。

はやく解明して!

 

ところで初めの『視覚』に戻って。

16世紀ファッション視覚 部分
アオキ
アオキ
笑えない?

ここに笑いが隠されてるよ!

 

清楚な貴婦人がいきなりマジメな顔で納豆の包みワラちょんまげヘア見せてない?

一角獣はふきだす寸前。

自分、鏡でみせられて詰めよられてぷぷぷ~、みたいな。

 

16世紀ファッション貴婦人と一角獣 視覚 タペストリー

反対側にいるライオンなんて笑いこらえてそっぽ向いてる‥

うさぎちゃんだってお口おさえてがんばってるよ!

このタペストリーはお堅い宮廷をやわらかくする道具だったのかしら?

 

ルネッサンス時代はヘアスタイルにファンタジーを求めた時代。

だからありとあらゆる創造がなされたけど‥

それにしてもこのタペストリーの連作のヘアスタイルはおもしろすぎる!

 

16世紀ファッション触覚 部分

ほらね

おハゲつのつの一本ヘア。

 

どんよりとしたパリの薄暗いクリュニー中世美術館で‥

突然浮かび上がるルネッサンスの華やかなタペストリー。

アオキ
アオキ
しーんとした空間でふき出させないでよね!

昔、絵は読むものだった

19世紀までの絵画にはよくイコノロジーがつかわれてます。

写真がない時代だったから絵でお話を表す。

それぞれのシンボルのもつ象徴をいかして画面構成するの。

ボッティチェリの絵もシンボルであふれてます。

ダン・ブラウン氏の小説『オリジン』や『ダ・ビンチ・コード』でラングドン教授がよく読み解いてるでしょ?

 

画家の感情とか描きたいものを描くようになってからこの手法は取られなくなっていくけど。

聖人サンピエトロは天国のカギと一緒に描かれてる。

彼が天国の門の番人でカギをあずかってるから。

サンジョバン二は荒野で毛皮を着てイナゴをたべて生きてた。

だから毛皮とともに描かれてる。

アオキ
アオキ
こんな風にシンボルを知るとマンガみたいに絵画がよめるよ!

このタペストリーがわたしをローマにつれていった

初めてこのタペストリーをみて豪華さと古さに圧倒された。

それに美術館であるこのもと修道院は14世紀創立。

タペストリーよりふるい!

内部は設立当時から現存してる‥

 

びっくりすることに、さらにその下に1から3世紀のローマ浴場跡がある!!??

それって遺跡が何層にも重なって現代につながってるってこと?

 

わたしが初めてローマ浴場跡をみたのは小さいとき住んでた東ベルリンで。

その上にも15世紀の歴史的な広場と建物がありました。

ローマ軍がその昔ここまできたんだよ~

っといわれてもピンとこなかったけど。

 

ここでまたローマ遺跡?って思いました。

それからいつも下敷きになってるローマ遺跡自体をみてやろう!っておもいはじめて‥

 

1年後ローマまで行きましたとも!

すべての文化のベースを見たおもいでした。

そこからローマでデザイナーになることまでできました。

まとめ

貴婦人と一角獣にまつわるテキスタイルデザインのお話でした~

  • どんなテキスタイルが使われたか
  • タペストリーにまつわるミステリーに隠された笑いについて

みてみました!

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