金ボタンに飾りボタン、くるみボタンに貝ボタン‥
今でもお高いボタンは高いけど。
昔は手作り一点細工物でも~~っと高かったんだよ~!
さっそく見てみよう!
目次
意識高い系ロココ男子、唯一デコったのはメタルボタン!1700-30年
ロココ男子が着ていたのはコート、ウェストコートにブリーチズ。
ウェストコートは丈長のチョッキ。
1700年初めから1730年頃のロココ初期。
中でもコートとウェストコートについてはちょっとお地味?
唯一の飾りはメタルボタンとボタンホール。
あとはフラップかスラント、どっちもポケットのふただよ~。
ここをいかにデコるのかが意識高い系男子の見せどころ。
上の貴族ジョバン二さんのコートに注目!
1600年代に比べてコートは長くなってきてるよ~。
そのコートにずらりとならんだボタン見た?
コートは前をあけっぱで着るの。
小さいボタンをぎゅうぎゅうに詰めてつけるのが流行るよ~。
でもボタンはニセボタン。
見せるだけで留めたりしないの。
フラップ(ポケットのふた)にもボタン。
カフスにもボタン。
下のウェストコートのボタンは真ん中まで留めるの。
あとはあけっぱが着こなしのキマリ。
なんでってその下のステキなブリーチズ見せないとダメじゃん。
ほらジャンさんも同じ着こなしだけど時代が進むと流行ってくる銀糸のふち飾りすごいわ~
スラント(ポケットのふた)の下にボタンあるけどボタンホールはナシ。
とめるっていう用途ナシ。
ボタンはただの飾り。
魔のボタン禁止令、罰金1700万円以上!1711-16年
みんなのボタン熱は白熱する一方。
ボタン詐欺、ボタン借金、ボタン破産‥
そんな1711年、ヴェネツィアにて。
250ドゥカーティは1700万円以上!
高すぎないか、この罰金‥
まあ罰金は重要な国庫の収入だったのでこんなもん??
イヤまさか!
ホントに1700万円払ってつけ続けたのかは不明だけど。
とにかくボタンはつけ続けられるのだ~
ジャスパーウェアだから作られた柄を一つづつ背景に貼っていった‥
ウェストコートとコートにずらりとこのボタンをつけて着用された!
一体何個??
製作技術は超高くついたけど何といっても土台の鋼が安かった‥
他は金銀宝石だしね。
ちなみにボタンはイタリアのサンタルカンジェロにあるボタン美術館でたっくさん見ることができます。
そしてロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館。
コチラは今をときめくオンライン見学でもじっくり見られます!
それでもやまないボタン熱、だって絵画作品中ボタンだらけ-ロココ中期
アンジェロさんはヴェネチアの海軍人。
トリコルノ帽子につけたステキなボタンでも階層がわかるよ!
あちらもボタンだらけ。
こちらもボタンだらけ。
このジェントルマンのはくるみボタン。
圧倒的な刺繍とコーデできるくらいの大金持ち♥
白熱のボタン合戦には金銀刺繍で対抗!1775年-フランス革命
画像ちっちゃいけどさっきと別のジュリオさん、よく見てね。
もはや飾りで目立つにはボタンだけじゃなく金銀刺繍で盛って対抗だよ~!
コートに何個もついたボタンはただの飾り‥
ボタンは一個もとめずにあけっぱで着るの。
ポケットにもカフスにも用途のないボタンがずらり。
ボタンホールもなし。
上のコートの下に着るウェストコート。
こういうコートやウェストコートは服のカタチのパターンを生地においてから刺繍。
その後買い手のオーダーに合わせて裁断。
くるみボタンもボタンのサイズにあわせて刺繍してからくるむ。
映画衣装制作現場でいつもやりますよ~
各国のデザイナーと夜なべでいくつもくるみボタン制作。
穴場スポット、困った時の時短食からワーキングママパパ子育て事情まで知れてたのしい。
コチラは陶器に焼き付けた肖像画入りボタン。
もちろんダイヤで飾って。
こんな風に美人貴婦人デ飾って。
このクオリティのボタンがアンサンブル一着に付き40個とかね。
金糸銀糸凝ったビーズ刺繍‥
これで国民の税金使って。
そりゃ罰金だってフランス革命だってされるよね。
フランス革命後のボタンはこうなった!
豪華な刺繍こそ姿を消したけど‥
高級生地でのくるみボタンを用途もないのにあちこちに。
これはやめられなかったみたいだね!
このステキなアンサンブルはフランス製の生地をイタリアで刺繍縫製したもの。
フランス革命直後に何という贅沢!
いいんですか??
現代ヨーロッパ映画界で引っ張りだこなボタンはどこの国の?
ちなみにヨーロッパで時代映画撮影用にシャツを作るときもボタンだらけ。
19世紀の映画を作るとしたらシャツだけで主役脇役合わせて100枚単位‥
私は今までに何個のボタン付けをしたことか!
使われるのは真珠母貝の貝ボタン。
正解は日本だよ~!
完全な形で一つ一つの模様がきれい。
超滑らかで色が澄んでる。
イタリアで気を付けないで買うと欠けてたりギザギザになっているのもあるくらい。
くすんでたり表の灰色の殻を使ってる部分もあったり‥
ブリーチズに寄り道!
最初に出てきたブリーチズってロココ貴族男子必須のひざ下までの半ズボンのこと。
よくある昔の王子様のカボチャパンツもブリーチズだよ。
半ズボン=ブリーチズは貴族のもの。
だってブリーチズの下にストッキングはかないといけないでしょ?
ストッキングは絹が主なとても高価なアイテム。
それにすぐ破れるから労働に耐えないね。
そんなわけで労働階級は長ズボンを履くんです。
ブリーチズはそれ自体飾りたてて自慢の一着に。
まとめ
小さいなボタン一つとっても超歴史が詰まってるってお話でした~
罰金とられてもなお冷めなかったボタン熱。
時代とともに大量生産できるようになって価格も安価になって行くのでした‥