衣装デザイナーが外国映画で働くには？海外でパターン・語学スキルより大切な3つのコト

将来海外で映画衣装制作の仕事をしたい高校生たち質問に答えました！

ちょうどいただいた未経験デザイナー志望・文系国立大学生さんからの質問も補足にいれてあります。

まず海外でデザイナー志望の高校生たちの質問から。

 

外国映画で、ハリウッド映画会社で日本人デザイナーは働けるの？

• デザイナーがデザインしたものを実際制作するのはパタンナーなの？
• 海外映画製作現場で働くのは実際難しい？

 

通常一握りの人しかムリという、超厳しい意見が多い！

ホントかな？

実際海外の映画製作現場に立つアオキから現実的に具体的に質問に答えます！

衣装デザイナーに一番大事なのはガイドであるという心がまえ！

翻訳するための手段は？

デザイナーそれぞれでいいんです。

 

映画衣装制作は、まず監督のアイデアがあってシナリオがあります。

監督は自分の衣装アイデアの体現者として衣装デザイナーに頼みます。

 

衣装デザイナーは自分勝手に好きなデザインはしません。

 

私はイタリア国立映画実験センターで三年間、この衣装デザイナー哲学を学びました。

パターンや縫製スキルは各自必要に応じてつけます！

 

自分の気に入った作品のプロのパターンナーのアトリエへ！

無料でいいって言われましたがお金を払ってタイトスカートのパターンからドレスまで習いました。

すぐ無料教授の域を超えちゃうのはわかってたので。

縫製スキルは制作現場に入り込んで縫ってつけました。

イタリアあるあるですが、

あんた誰？

って感じですよね。

 

でもヴィスコンティ監督の衣装デザイナー、ピエロ・トージ氏はパターンの引き方も、縫いかたも知りません！

それでもパターンナーをガイドすることはできました。

 

衣装デザイナーには何とかしてパターンナー、縫製師をゴールに導く力が必要！

例えば、ロココ衣装を作っているのに‥

なぜか1860年代っぽいシルエットに見えてしまいます‥

その時パターンの作り直しを要請します。

時間もお金もムダ！

パターンナーさんを傷つける‥

パターンナーをガイドできる力がないとこういうことになってしまいます。

 

 

 

『マリー・アントワネット』などで有名なミレーナ・カノネロ氏は描かないでデザイン画描きを雇ってます‥

超有名どころなので描き手には困りません。

ピエロ・トージ氏のデザイン画はすばらしく、ナショナル美術館殿堂入りです！

 

とにかくまだスキルのない場合は‥

海外で衣装デザイナー、ファンタジー世界の創造、好きなものをデザインしたい！

と日本を飛び出して行ってはいけません！

 

監督のアイデアの翻訳者だという心構えをまず頭にたたきこんで！

これがあると、その国の語学は必須だってわかりますよね？

スタッフを導く実技スキルも必要。

歴史だったり西洋時代劇の場合ヒストリカルドレスの知識、ファッション史の知識があることが大前提ですよね？

またはそれを上回る独自のスキルをつける。

これらがないと監督と話し合うこともできません。

海外で日本人が衣装デザイナーとして働けるか？

よくある質問だよね？

正解は海外で日本人は衣装デザイナーとして働けます。

 

私はイタリアの国立映画実験センター卒。

なので卒業時にはフリーランスで衣装デザイナーの道が確保されていました。

っていうかイタリアの衣装デザイナーはみんなフリーなので。

そして私はたまたますでにイタリアにいました。

 

海外のネームバリューのあるデザイン学校卒って現実的に難しい。

 

私が入試のために語学スキルをつけるとしたら至難の業だったと思います。

イタリア国立映画実験センター入試についてはコチラ＞＞プロフィール3章　超難関！イタリア国立映画実験センターに根性で入って衣装デザイナー

私が体験した日本クルーのローマロケ

もし私が日本にいて海外で衣装デザイナーとして働きたかったら？

日本で実力をつけて海外の映画に製作依頼される道がやりやすいと思います。

労働ビザ問題も『招へい』だからナシ！

 

例えば日本で働いてみたかった衣装デザイナー、フランカ・スクワルチャピーノ。

彼女はイタリアで超有名になって日本の舞台から制作依頼が。

それはなんと坂東玉三郎の舞台『エリザベス』！

 

ま、そこまで有名じゃなくても大丈夫。

私がイタリアで衣装デザイナーになってからのこと。

日本で働いてみたいな～と思ってました。

 

あるとき日本の大手会社さんがローマでCMロケをすることに。

私は衣装デザインで参加しました。

それができたのはイタリア人スタッフからの紹介。

 

日本人が海外ロケをする場合、現地の日本の映像制作会社支社にまず問い合わせます。

そして働いてくれる日本人がいないか必ず聞きます。

 

たいてい日本で監督と衣装さんが企画を検討して方向を確認。

その後監督は海外に来ますが衣装さんは現地スタッフで間に合えばわざわざ日本から来ません。

 

そこで後は私のような現地スタッフが引き継ぎます。

 

ここで私はあたり前ですが監督のすべての要求に応えるようにします。

 

薄物を着ている日本の女優さんを温めることにこころをくだいたり‥

日本から来るはずで来なかった俳優とエキストラ用の衣装を超特急で準備したり‥

もし私がその時日本（私にとって海外）で働きたかったら‥？

 

その時は日本人プロデューサーに日本で働いてみたいです！

と伝えます。

大抵はご自身の人脈を紹介してくれます。

ここが海外で働ける入り口になります！

海外で衣装デザイナーになりたい高校生たちからの質問

続いてTwitterフォロワーさんからの具体的な質問です。

外国で衣装の仕事がしたいＩくん

まずはＩくん。

Ｑ.将来映画衣装デザインをしたい！

ミレーナ・カノネロさんが手がけるような衣装デザインをしたい！

『マリー・アントワネット』、『時計仕掛けのオレンジ』など。

『ハリー・ポッター』や18世紀ヒストリカルドレスも‥

とにかく外国の映画の衣装の仕事がしたい！

だけど日本人にはムリなの？

やはり海外へ行くべき？

 

A.日本人にも可能！

• 私の実体験を徹底解説！！
• 絶対にすぐ海外に行くべき！ではない
• デザインスキルとビジネス能力をつけてから海外へ

 

ハリウッド映画で衣装の仕事がしたいけど、どの学校に行けばいいかわからないＨちゃん

次は美術科の高校2年生の女の子Ｈちゃん。

Ｑ.高校では商業デザインを学んでいます。

でも衣装デザインがやってみたい！

それもハリウッド映画の・・

具体的にどの学校に行けばいいの？

将来が不安だから国立大学進学ってあり？

ファッションデザイナー方面に進むなら専門学校がいいって聞くけどホント？

将来が不安なので大学進学がイイんだけど‥

しかも美術系私大は授業料が高額なので親がダメって‥

国立大じゃないと！

 

A.国立大の難関大学に行くのが賢い選択！

• 具体的に行くべき学校
• そのために今するべきこと
• 学校でプロになるための学びの姿勢

 

ファンタジー世界の衣装を作りたいＴくん

それからＴくん。

Ｑ.将来舞台や映画の衣装制作をしたいです！

「アリス・イン・ワンダーランド」などのファンタジー世界の衣装を作りたいです。

デザイナーさんがデザインしたものを制作するという仕事はパタンナーですか？

生地を選び、パターン作成し、縫製するということがしたいです！！

このような仕事はどんな会社でするんですか？

ハリウッド映画で活躍したいんですがどうすればいいんですか？

 

A.これはパタンナー、または縫製という仕事♪

• ヨーロッパの衣装工房には日本人でも就職できる！
• 海外で縫製師になれる確率
• ヨーロッパの衣装工房への就職の仕方
• 海外での人脈の付け方

 

未経験・デザイン関係知識0の文系大学生Cくんからの質問

Q.現在国立文系大学生のCです。

ファッションとは何の関係もない学科在籍です。

でもどうしてもどうしてもデザイナーになりたいんです。

未経験・無知からでもファッションデザイナーになれますか？

情熱ならだれにも負けません！

デザイナーのアシスタントになればいいとも思いますが、未経験でもなれるものなんでしょうか？

スキルが全然ないので専門学校に行った方がいいでしょうか？

でも専門学校は高額なので行けません‥

国立文系大と、進路を間違えたようで焦ります。

 

A.国立文系大でもファッションデザイナーになれます。

• 未経験・無知でデザイナーのアシスタントになるのは難しい
• デザイナーは即戦力を必要とする
• デザインスキルがないなら先にファッション史の知識をつけよう

最後、はて？？

が、デザイナーになりたかった、でもなれなかった人たちを多くみたアオキが、未経験で知識もまだないあなたが絶対に失敗しないようにできる最大のアドバイスです！↓↓↓

なぜファッション史の知識がいるの？

上記の全ての質問への回答は数行で終わってます‥

確かに

[海外へ！デザイナーに！

夢はふくらみます。

 

その夢を絶対叶えるために必要なのはデザインスキルと同じくらい大切なある能力です。

その能力ってなにかきちんと理解していますか？

答えは意外なことに歴史の知識なのです！

 

私はデザイナーになった当初そんなことを考えもしませんでした。

そう思っていました。

結果、わかったことは、

世界の有名デザイナーに共通するものはデザイン力と歴史の知識。

だって未来の創造をするためには過去から学べ！ですから。

 

これがないといくらデザインスキルがあっても埋もれてしまう⇒

埋もれると仕事がない⇒

仕事がないから無名のまま‥⇒

無名なので仕事がなく埋もれる⇒負の悪循環！

残念ながら夢といきおいだけではデザイナーにはなれません。

デザイナーになくてはならないものはデザインスキルと歴史の知識だということをキチンと押さえていれば！

デザイナーになるには人と交わろう！

一人でスマホ検索しながら悩んでいても進めない！

例えばミレーナ・カノネロのアシスタントの一人、大卒すぐのミーナ。

彼女はある日お母さんに言ってみた。

映画界で働きたいな～

 

そしてらお母さんの友達の友達のレストランの主人が口きいてくれたそう。

ミレーナのアシスタントの一人と知り合いだったんだって！

 

こうやって人脈でそのデザイナーのアシスタントに入る。

バリバリ働いてキャリアアップっていうのもよくあるパターン。

 

ミレーナ・カノネーロ本人だってキューブリック監督と知り合ったことがキャリアのスタート。

ピエロ・トージ氏はお母さんがヴィスコンティ監督に紹介してくれたんだって！

どんな知り合い？？

 

衣装デザイナーになりたかったらそのことをまずいろいろな人に伝えよう。

わらしべ長者みたいにきっと誰かが助けてくれる。

その誰かも誰かに助けられてキャリアアップしてるから。

ドリームキラーには耳を貸さない！

その時注意！

「足の引っ張り合い、仕事の取り合い、大変じゃない？」

とかドリームキラーには耳を貸さないで！

 

デザイナーになりたいのはあなた。

よく脳は「人間の本能は安定して生きること」だから「脳は変化がキライ」って言うじゃない？

そんな感じでドリームキラーはあなたを生きさせようとしてるのかもよ！

デザイナーにならずに安定した職業なんかいいんじゃない？

って脳が提案してくる。

フツーの生存本能だね。

デザイナーになったら職なしで飢えるかもしれないからね。

だから生存本能と反対のことをしてドリームキラーには耳を貸さない！

まとめ

海外で映画衣装デザイナーになるには

• 海外のネームバリューのある学校卒になる
• 現実的な方法は日本で実力をつけて外国映画制作に招へいされる

でした！