【1章】20歳で着物デザイナー、人間国宝級のテクを盗んでイタリアへ!
【2章】イタリアのデザイン事務所に体当たり、やり手社長の正しい正しい商業デザイン!
目次
私がハリウッド映画で働けるたった一つの理由は?
コネや才能、お金、キャリアではありません。
ヨーロッパ映画業界で「イタリア国立映画実験センター卒」。
というと、すでにプロ=即戦力とみなされます。
名刺を体に貼り付けているようなものだからです。
映画『マリー・アントワネット』で大規模ハリウッド映画にビックリ!
私の卒業時ソフィア・コッポラ監督は映画『マリー・アントワネット』制作中。
恩師トージ氏に言われてわたしがローマの衣装工房へ着くとその日から
「あ、この子センター卒の子」
「ちょうどよかったちょっと来て!」みたいな感じですぐ現場制作が始まりました。
映画製作現場はネコの手も借りたくらい忙しいので、人手はありがたい。
マリー・アントワネットのドレスをデザインしてみた
ある日ソフィアコッポラ監督と衣装デザイナーのミレーナ・カノネーロから呼ばれて‥
「こんなイメージのドレスが作れるかしら?」
と渡された一枚のアイデアスケッチ。
ドレス前面に青いバラが描かれたものでした。
すぐに制作に入りました。
はじめはローマで、それからパリで。
これまで低予算映画をやっていたのでハリウッド映画の規模と展開の速さに目が!
世界的有名女優がやってきて
ある日アトリエに、す~っと色白の女の子がたった一人で‥
ナント!
びっくり仰天、でも映画『マリー・アントワネット』の主役ですから当然。
真っ白なソファーと絨毯、
白い豪華なドレスで寝そべっているキルスティン・ダンスト・・
衣装合わせの最中
「ミルクティーをください」
と言われました。
「日本のグリーンティーは?」
とわたしのおやつ用のお煎茶を差し上げると‥
喜んでくれました^^
持っててよかった、見本集めにバイクでローマ中を疾走!
撮影開始日が近づいてきました。
ローマの衣装工房はパリ工房へ引っ越しするのです。
ベルサイユ宮殿にもっと近くないとね。
その時わたしだけバイクを持っていました。
もちろん50㏄ね。
運転手さんもいましたがおベンツでした。
渋滞のローマではバイクしか使えないので私に指令が。
大至急ローマ中の生地見本を集めよ!
これをすべて集めるのが今回のお使い。
ここから購入する生地が決定され、無事に生地を大量購入してパリへと持っていくことが出来ました。
その量といったら!トラックに何台分も。
ハリウッド映画の規模をみました‥
老舗の靴工房へ靴の注文に行くこともありました。
マノーロ・ブラニックの靴はほんの一部でしたから。
ヘアスタイルの試作もおもしろかった。
撮影も半ば、パリ工房で監督から差し入れがあった日。
みんなにはパリのお菓子でしたが私は
「おつかれ様です~」
っておスシの折詰をもらいました^^
マカロンと黄色いたくあんのコントラスト( ´艸`)
世界一流スタッフが結集、映画は大ヒットしました。
ミケーレ・プラチドの映画初プロデュース作品に参加!
しばら~くして。
息子が生まれ、6か月だったころ。
赤ちゃんがいるからどうしようか‥
でも監督に「問題ない」と言われたので衣装デザイン担当となりました。
シナリオは偽装婚、娼館、逃走、女装、移民‥
イタリアの現代を切る盛りだくさんな内容。
この頃から子供はいつもわたしと一緒。
日本ではワンオペって言うんですね。
イタリアの70年代にフィーバーした大女優、エレオノーラ・ジョルジ監督作品にも参加。
かなりの年齢ですが超ゴージャス美人。
その元夫がプロデューサー(汗)
撮影は毎日夕方から始まり、わたしは明け方帰宅。
そのまま朝、息子を保育園に。
この頃は夜、息子はさすがにお父さんといましたよ。
ホラー映画撮影現場で人肉の作り方を学ぶ‥
イタリアホラー映画の大監督ダリオ・アルジェント協力作品にも参加。
人肉をたくさん作って保管しておくのもわたしの仕事。
特殊メイク班が作り方を教えてくれて‥
- ミンチに特殊メイク用の血のりを混ぜてよく練る
- 緑色や白い粉を少しかける
- 指のカタチなどパーツに成型してラップで包んで固めておく
これを私が量産‥
確かにいるだけでホラーな雰囲気出せちゃう人です。
『マリー・アントワネット』の映画でもご一緒しました。
悪女役も多いですが、実際はとてもやさしい人礼儀正しい人です。
パゾリーニ、フェッリーニ映画で有名なファラーニ衣装工房で多忙!
この頃から今に至るまでずっとローマのファラーニ衣装工房でよく仕事をします。
いるだけでわくわくするところ。
初めは映画研究所の友達の紹介でした。
工房で大至急、特殊加工スタッフを探していたから。
おもしろかったのでばりばり仕事をしました。
そのうちに注文制作がどんどん来るようになって。
テレビドラマ『ヴィヴァルディ』でアレッサンドラ・トレッリ
オペラ『トゥーランドット』でフランチェスカ・スクワルチャピーノ
などからの注文です。
ここは世界有数の衣装工房で、天井からずらりと下がる衣装‥
巨大倉庫にも歴代映画で使われた衣装がぎっしり。
そしてパゾリーニ、フェデリコ・フェッリーニ映画の衣装はもちろん大切に保管。
工房長の家の木の箱の中にあるのを見せてもらいました^^
ここでローマオペラ座のバレエやオペラの衣装もたくさん作りました。
ここまで特殊な体験から体当たりで人脈を得てデザイナーになった経緯でした。
私の出会った人物の多くは鬼籍に入られているし‥
【3章】超難関!イタリア国立映画実験センターで不滅の衣装デザイナーからしぼりとれ!
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