ロンドンのグローブ座の
パタンナーチームで
1840年のドレスを当時の縫製に忠実に
作ったんだよ!
1700年代からの流行の中心はフランス。
なのでお手本はフランスの絵画、
イラスト、ファッションプレート・・
1840年はファッションの歴史の中で最も
シンプルで分かりやすいライン。
目次
ヒストリカルドレス制作は忠実、執拗な調査から。発明厳禁!
まずは図書館や古本市、博物館、へGO!
当時の絵画や版画集めまくりの旅へ。
これは写真が誕生したばかりの1840年の作品↓↓↓
これは現実にいた女性ね。
当時は流行に沿って中年層まではみんな同じ格好。
ファッションプレート↓↓のスタイルは
購入してもらうためのもの。
きれいに理想化されたスタイル。
今の雑誌もそうでしょ?
ザンネンながら現実とは違います。
ほんの参考程度に。
とにかくこういうものをたくさん集めるよ。
もちろんコピーね。
オリジナルじゃないよ。
ファッション史オタクとしては一番楽しい作業。
中でも面白いのは1840年ごろに
パリで活躍したイラストレーター、
ガヴァルニの作品。
1840年のシルエットはこれ↓↓
- ヘアスタイルは横にちょっとボリューム
- 頭はちょっと前に
- 長い首
- 超なで肩
- ひじがふんわりな袖
- ひだをたくさん縫い付けた超細長い胴
- スカートとボディㇲの縫い目がふんわり盛り上がっている
- ふんわり丸く内側に入った裾
④超なで肩って本当です!
ボディスにアームホールが超下部に
付いているので、
視覚的なで肩効果はあるけど。
それにしてもここまでとは!?
⑥ひだをたくさん縫い付けた超細長い胴
なんだけど。
胴をより長く見せるために
縦に細かいひだをたくさん入れてるよ!
この10年前の1830年までは
短い胴が流行ってたのに!
⑧でスカートの裾が内側に
入ってしまっていることにご注目!
答えは記事下部で明らかに!!
でもまたたった20年で
- 短い胴
- 超広がったスカート
に変わるんだよね~
だから1860年に描かれたおばあさんの絵を見ると、
まだ1840年っぽい格好をしてるんだよ。
1830年代に書かれたバルザックの
『ゴリオ爺さん』の発売当時の挿絵も、
パリのこの時代の衣装生活風俗が
描かれてて超面白い・・
それからフィレンツェのピッティ宮殿に侵入!
1840年作製のドレスの資料もシェアするね。
ここは午前中しか資料を見せてくれない・・
私はローマから始発の電車に乗ったんだよ。
小一時間後にはフィレンツでカプチーノ^^
超貴重資料、1840年に作られた
日中用ドレスはこれ!↓↓↓
1840年シルエットの特徴が詰まった
オーソドックスなドレス。
1840年のシルエットは
- なで肩
- なが~いウエスト
- ボディスに沿った細かいひだ
- ボディㇲの真ん中は尖っている
- あらかじめカーブを描いてパターンが作られている袖
- スカートとボディㇲの結合部分はギャザーが寄って厚みを持っている
- ふくらんでいるが裾が小さめなスカート
- 人体が入っていないので残念ながらスカートの裾が内側に入ってない
当時はもちろんすべて手縫い。
当然今回もスカートのすそ以外はすべて手縫い。
↓↓↓こちらは同じドレスを裏返したところ。
裏からは縫い方やパターンがよく見えるよ~
この裏返しドレスの見るべきポイントは、
- なで肩に見せる袖付けの位置!
- 胴を細く長く見せるペンス
- カーブを描く袖の形
- ボディストスカートの接続部
④ボディストスカートの合体部分
なんだけど。
1840年にはボディスとスカート部分を別々に作製。
後で上下縫い合わせてワンピースにしてたんだよ。
今のワンピースの作り方と全然違うよね。
このボディスとスカート接続部のひだが重要!
現代のスカートはいくつかの台形を
つないで立体にするよね?
そしてウェストやヒップ周りは
すっきりしていることを目指すじゃない?
でも
1840年は筒状の布の上部を
ギャザーで寄せただけでスカートにしてたんだ!
タック全然なし。
ちょうど小学生が水泳の着替えの時に被るタオルスカートの作り方ね。
そうすると上部のあまったギャザーが
寄った部分にふくらみが。
これをきれいに均等にならした形が④になるよ。
これこそが1840年独特のシルエットなのです!
そしてあまったスカート接続部のギャザーがあるからスカートが体から離れるよね?
それでウェストとヒップに沿わず、
ぽわんと膨らんで美しい丸い形になるよ。
↑↑↑見て見て!
- この小さい背中!なで肩に見せるためにこんなに小さい後身頃が!
- 下の方に付いている肩の縫い目
- よっちゃったギャザーたくさん
①②ここまでしてなで肩に見せたかったんだね~
なで肩=美女=モテる
=お金持ちと結婚で永久就職^^
と、お決まりの方程式です。
纏足=美女=モテる
=お金持ちと結婚で永久就職^^
とまったく同じ!
これらの資料から私が作成したデザイン画がこちら↓↓↓
スカートは長方形を縫うだけなのでデザイン画は省略ね。
これが1840年当時の型紙だ!見どころ
1840年のピッティ宮殿保存の
ドレスの型紙を見てみよう。
私もですが・・
↓↓↓なので見どころをご紹介^^
- こんなにたくさんのひだを前頃に付けて胴の長さと細さを演出
- ステッカ(ボーン)を入れてウェストを固く絞る
- やけに小さい後ろ見ごろ
- スカートの接続部分のギャザーの処理をきれいに!
- 袖は初めからカーブを描いて断つ
↓↓↓すごいヘンな型紙はこちら!
5メートルくらいの長さの生地を筒状にしただけです。
ホントです!
ウエストは全てギャザーで寄せるので大変!
糸にロウを塗って絡まらないようにします。
これ1800年代もみんなやってた技法!
ぜひやってみて~^^
1840年のラインを出す秘密はアンダースカートにあり!
そのために
1860年では鳥かごみたいなクリノリンが使われるよ。
でも1840年にはまだこの発明はなかったんだよね~
↓↓↓答えは大ボリュームアンダースカート!
このただのフリル重ねアンダースカート。
固い張りのある4層のオーガンジーで作られてるよ。
なのでスソがふわふわと柔らかく、
上に着るスカートのスソが内側に入ってしまうの。
これで1840年の特徴的なスカートの
ふんわりまんまるシルエットになるんだね!
1840年のドレスを実際に作ってみたよ!
こちらが実際に1840年のドレスを制作した時のドキュメント!
- ウェスト部分にギャザーを寄せるためのしつけ糸
- 後ろに下がっているのはフリルのアンダースカート
縫製でウエスト部分にギャザーを寄せるために
広げてあるスカート。
ロウを塗ったしつけ糸でギャザーを寄せて行くよ~
こちらが後ろ身頃↓↓↓
- しつこいですがなで肩
- ステッカ(ボーン)を入れる
↑↑↑袖を作っています。
- 表の生地と裏地をずれないように仮止め
- フリルを均等に袖口に配して仮縫い
- 生地の端の模様を生かして配置
- コルドンチーノと言うループで、タコ糸などをバイアスで伸びるように断ったドレスの共生地の中にくるんだ装飾用のヒモ
④のコルドンチーノ、つまり共生地でくるんだループ状はチェックね。
これで服を装飾することはファッション史を通してよく使われた装飾方法だよ。
↑↑↑ベースのボディスの上に別生地で装飾用の縦ヒダを付けるよ~
視覚効果だけでいいの。
ホントの胴はドウでもいいのヨ♪
↑↑↑某女優さんがモデルなので来てもらって仮縫い中
仮縫い続行中
1840年のシルエットがよく出てるね!
19世紀のイタリア、フランス、イギリスの服装徹底解説はこっち↓
農民・庶民は男性も女性も西ヨーロッパではよく似てる。
まとめ;1840年シルエット
しつこいですが1840年のシルエットについて暗記しましょう!
- なで肩
- 細く長い胴
- スカートはウェストからスソまでのふんわりまんまるシルエット
それは
一つの時代を象徴するシルエットから、
別の時代を比較して頭に入れやすくするため^^
歴史の網羅だけだと挫折しやすくなるし。
ぜんぜん面白くないし。
一つの時代をここまで深く掘り下げると裏側まで見えてくるよね~
この後にでてくるバッスルスタイルの構造も
作り方も
この1840年代スタイルを知っているからこそ
この重さが不便だとわかるからこそ
とびっくり仰天できる!
バッスルスカートは下着から生地の用尺まで革命的に変わります!
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